『走る意味 命を救うランニング』金哲彦 著 (講談社現代新書)(小野)
著者はガンにかかり、手術後も転移の恐怖を抱き続けていました。その後2007年ゴールドコーストマラソンを完走したことで、沈みきった心をポジティブな方向に変えることができたそうです。
指導者から国籍を変えてオリンピックに出場するよう強く勧められ、迷った末に断ったそうです。
箱根マラソンの山登りで区間新記録、実業団でも活躍をしましたが、ケガなどで停滞を余儀なくされた時期も少なからずありました。
プロ選手としてまだ頑張ろうとしていたのに、女子選手のコーチを勧められたのをきっかけに、選手としての活動休止に至りました。けれども、それまでの自分の結果を出すという意識を教え子の結果を出す方に移し、彼女らの成長を喜ぶようになりました。いまでは市民ランナーを指導するような活動もしています。
著者と瀬古利彦選手、有森裕子選手、高橋尚子選手ら、トップランナー達との関わりも見られ、面白かったです。
このような華々しさと、人生を揺るがすような経験の入り交じったマラソン人生の記録は興味深く、勇気を与えてくれるものでした。
著者が手術後にマラソン3時間以内を達成したマラソンは、2009年にPit Stop つくば北条の地元つくば市で開催された、つくばマラソンでした。